代償分割のメリット・デメリット|相続税・贈与税・譲渡所得税はどうなる?

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本記事の内容は、原則、記事執筆日(2023年2月3日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
代償分割のメリット・デメリット|相続税・贈与税・譲渡所得税はどうなる?

遺産相続争いというと財産が多い場合に起こるようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、自宅などの不動産と少しの預貯金というケースでも起こる可能性があります。
これを避けるためには、いかにすべての相続人が不公平感を感じないように遺産を分割するかが大切です。
しかし、分割しにくい不動産はどうしたらいいでしょうか。
この記事では遺産分割の方法の一つ「代償分割」という方法のメリットやデメリット、税金について説明します。

代償分割とは?

代償分割とは遺産分割における分割方法の一つです。

相続人の一人が、ある相続財産を相続する代わりに、他の相続人に金銭(これを代償金といいます)または代償財産を支払うという合意をするのが代償分割です。

代償分割のメリット

代償分割は以下の3つのメリットが挙げられます。

  1. 分けにくい遺産があっても揉めずに公平に遺産分割できる
  2. 分けにくい遺産をそのまま相続できる
  3. 相続税対策ができる

ひとつずつ説明していきます。

1.分けにくい遺産があっても揉めずに公平に遺産分割できる

一部の相続人が遺産を現物のまま相続し、他の相続人に対して金銭などの代償金を払うことで分けにくい財産の分割方法で悩むことなく、遺産分割がスムーズすすめられます。

2.分けにくい遺産をそのまま相続できる

一部の相続人が遺産を現物のまま相続することで、思い入れがあるものであればそのままの形で受け継ぐことができ、また、資産として有効活用もできます。

3.相続税対策ができる

不動産を一人の相続人が相続することで相続税評価額を大幅に減額できる小規模宅地の特例を利用できる可能性があります。

代償分割のデメリット

代償分割のデメリットとして主に以下の2点が挙げられます。

代償金が払えない

分割しにくい遺産を相続した相続人が他の相続人に代償金を支払うことが前提となっています。 代償金は、遺産の中からではなく相続人自身の財産から支払う必要があるため、相続人に支払能力がないときは代償分割は難しいでしょう。

遺産の評価を合意できない

代償分割は、分割しにくい遺産の価値を評価して、その遺産を相続しない代わりに代償金を受け取るものです。 そのため、相続人間でその遺産の評価が分かれているような場合には向いていません。

代償分割の例

では、代償分割はどのような場合に行われるのでしょうか。

ここでは2つの例をご紹介します。

遺産が不動産のみの例

「遺産が実家(不動産)しかなく、相続人が3人いる。」という場合です。

長男が遺産である「実家(不動産)」を相続する代わりに、他の2人の相続人(次男・三男)に対して相応の金銭を提供するという代償分割をおこないました。

相続人が3人(長男、次男、三男)の場合、法定相続分は1/3づつになります。

しかし、不動産を物理的に3分割するには大変な手間がかかります。しかも分けてしまったら分割された土地の広さや形によっては有効な使い道がないかもしれません。

一つの不動産を3人で共有することもできますが、相続人の代だけでなく、相続人の子の代まで共有状態が続く可能性があり、後々のトラブルにつながりかねません。

そこで、長男が次男、三男に法定相続分の1/3にあたる金銭を支払い代償分割をしました。

遺産が預金と不動産の例

「遺産が預金(2,000万)と賃貸用不動産(時価1億円相当)で相続人が3人いるため、賃貸用不動産を分割するのが難しい。」という場合です。

分割しやすい財産である現金や預金の割合が少なく、分割しにくい財産の割合が大きいというケースです。

このケースでは、相続人の1人(長女)が賃貸用不動産を相続し、他の2人(次女、三女)に代償金を支払いました。

こちらも、賃貸用不動産を共有することで収益に関する後々のトラブルを防ぐために代償分割をしました。

これらの例では、代償分割の方法を選択して、一部の相続人が遺産を現物のまま相続し、他の相続人に対して金銭などの代償金を払うことで遺産分割がスムーズすすめられました。

代償分割と税金

遺産相続で所得税がかかる場合

相続税

代償分割を行った場合でも、遺産の総額は変わらないので、発生する相続税の「総額」に変わりはありません。 ただし、各相続人間における相続税の負担割合は代償金の額によって変わってきます。

贈与税

代償分割を利用して代償金を受け取った場合、贈与税は基本的には課税されませんが、金銭の受け渡しが贈与と認定されて贈与税が課税されないようにするためには、遺産分割協議書にその旨を記載しておく必要があります。

遺産分割協議書の書き方は「遺産分割協議書を全解説|作成の目的から書き方、必要書類まで」で詳しく説明しています。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地や建物を譲渡したときにかかる税金です。

代償分割において、遺産の代わりに他の相続人に渡すものは、必ずしも金銭でなくても、相続人が所有している他の不動産等の財産でも構いません。

ただ、代償金の支払いの代わりに不動産を譲渡した場合には、不動産を売却してその売却金で代償金を支払ったと評価されるため、不動産を譲渡した側の相続人に、相続税とは別に譲渡所得税が発生する点に注意が必要です。

なお、課税対象になる譲渡所得は次のように算出します。

課税譲渡所得金額=収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額

代償分割と換価分割の違い

換価分割は、遺産である不動産を売却して、その売却金を相続人間で分割する方法です。 代償分割と換価分割の違いは、相続の時点で不動産を売却するかどうかという点にあります。

この点、税務上の観点からは、代償分割の方が税金の負担が少なくてすむ場合が多いと言えます。 なぜなら、換価分割の場合は、実際の売却代金によっては、相続税に加え、譲渡所得税を支払わなければならない可能性があるからです。

ただ、代償分割の場合であっても、不動産を相続した方が3年以内にその不動産を売却する場合には、換価分割を選んだ方が相続税が低くなる可能性があります。

相続した不動産を3年以内に売却した場合、譲渡所得税の計算において、支払った相続税額を取得費として計上できるところ、代償分割では、その不動産を取得した相続人が支払った相続税額しか計上できないのに対し、換価分割では、他の相続人が支払った相続税額も取得費として計上することができるからです。

まとめ

代償分割は、分割しにくい遺産がある場合に、相続人間の公平を維持しつつスムーズに遺産分割を行うのに向いている方法です。 

代償分割の他にも「現物分割」「換価分割」「共有分割」といった方法もあります。

不動産の分け方については「相続した不動産の分け方は?名義変更手続きの相続登記は自分でできる?」で詳しく説明しています。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、遺産分割協議でご家族全員が同意できる方法を見つけてください。

不動産の相続は、分け方も含め相続登記など手間のかかることが多くあります。

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相続税申告(税理士のみ対応可)と相続登記(司法書士のみ対応可)など必要な資格が複数にまたがっている場合は必要な資格ごとに2回に分けて見積依頼をかけることができます。是非ご活用ください。

本記事の内容は、原則、記事執筆日(2022年2月3日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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