相続登記は自分でできる?費用や必要書類、申請書の書き方まで

更新日

本記事の内容は、原則、記事執筆日(2022年12月12日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

相続や遺贈によって土地や不動産を取得した場合、「相続登記」という手続きが必要です。相続登記は法務局でおこないます。しかし、実際に自分で手続きをやってみた人は少ないのでは?

そして、やっかいなことに相続登記の手続きは義務化が決定されています。施行は令和6年4月1日からですが、過去の相続にも義務化が適用されます。したがって、速やかに相続登記することをおすすめします。

この記事では相続登記を専門家に依頼すべきケースやその費用、必要書類などについて解説します。

相続登記は自分でできる?費用や必要書類、申請書の書き方まで

相続や遺贈によって土地や不動産を取得した場合、「相続登記」という手続きが必要です。相続登記は法務局でおこないます。しかし、実際に自分で手続きをやってみた人は少ないのでは?

そして、やっかいなことに相続登記の手続きは義務化が決定されています。施行は令和6年4月1日からですが、過去の相続にも義務化が適用されます。したがって、速やかに相続登記することをおすすめします。

この記事では相続登記を専門家に依頼すべきケースやその費用、必要書類などについて解説します。

記事を3行で先読み!
この記事はこんな方におすすめ
「土地や不動産を相続する人」「相続登記の手続きを自分でおこないたい人」

この記事のポイント

  • 相続登記の義務化が決定されているため、速やかに手続きを完了させる
  • 家族関係が複雑な場合など、専門家に依頼したほうがよい場合もある
  • 相続登記の必要書類は、相続のパターンによって異なる

相続登記とは?

相続登記とは、土地・建物を相続したときや贈与されたときに行う登記(不動産の名義変更)を言います。登記にはいくつか種類がありますが、相続登記は所有権移転登記のひとつとされます。

所有権移転登記

所有権移転登記は、土地や建物の所有権が移ったことを明確にするため、法務局が管理する公の帳簿(登記簿)に反映させる手続きです。

所有権の移動を登記簿に反映させておかないと、第三者から権利を主張されるなどのトラブルにつながる恐れがあります。また、不動産を担保に銀行融資ができないなどのデメリットも。

相続登記を急いでしたほうが良い理由

相続登記の義務化が決定されたたため、早めに手続きを行うこと

上記で少し触れましたが、令和3年4月21日の参議院本会議で相続登記の義務化が決定されました(令和6年4月1日施行)。そのため不動産などを相続したら、早めに相続登記手続きを済ませる必要があります。

また注意しなければならないのは、相続登記義務化は法改正後に発生した相続のみならず、法改正以前から相続登記をしていない不動産についても適用されることです(遡及適用)。したがって他人事と思わず、速やかに手続きをおこないましょう。

自分で手続きをする自信がなければ、専門家への相談をおすすめします。

相続登記を怠ると過料の可能性

義務化が開始されると、土地・建物の所有を知ってから3年以内に相続登記をしなければなりません。正当な理由なく相続登記を怠ると、10万円以下の過料が課せられる可能性も。

登記名義人の氏名や住所の更新に対する規定も

相続登記の義務化に加えて、登記名義人の氏名や住所の更新に対する規定も新設されています。

不動産の登記名義人の氏名や名称または住所変更があったとき、登記名義人はその変更があった日から2年以内に変更登記申請をしなければならないと定められています。

なお、氏名等や住所の変更登記申請を正当な理由なく怠ったときは、5万円以下の過料に処するともされています。

相続登記の手続きは自分でできる?

この記事を読む方は「相続登記の手続きを自分でやりたい」と考えているのでは?しかし「自分でもできるケース」「できないケース」が存在します。

「自分でできないケース」とは相続が複雑な場合などです。こういった事情があるのに無理して自分で行ってしまうと、かえって訂正の手間などがかかることも。

少しでも不安があれば、専門家に依頼したほうが安心です。「相続費用見積ガイド」では、相続業務を得意とする複数の専門家から無料で一括見積依頼をおこなうことができます。

相続登記の手続きが自分でできるケース

相続人が配偶者と子どものみ

誰が法定相続人になるかは家族関係によって異なりますが、相続人が配偶者と子どものみだと、必要な戸籍謄本も多くなく、比較的スムーズに手続きがおこなえるでしょう。

平日の日中に時間がある

必要書類を集めるため市区町村役場や法務局に行く必要がありますが、いずれも平日の日中しか業務取扱していません。何度か訪れる必要もあり、時間に余裕のある人だとやりやすいでしょう。

根気強く対応できる

相続登記の手続きは「意外と手間がかかった」と思う人が多いようです。戸籍を読んだり、時間をかけて必要書類を取得する必要があります。途中で挫折してしまわないよう、根気強く対応できる人が望ましいです。

専門家に依頼すべきケース

専門家に相続登記を依頼したほうがよい場合

兄弟姉妹が相続人となる場合や、代襲相続が発生する

相続人が多くなるほど、必要書類が多くなります。特に兄弟姉妹が相続人になる場合、「被相続人の親や祖父母の死亡がわかる戸籍」も新たに取得しなければならず、戸籍収集に手間がかかります。

相続人同士が不仲(疎遠)

相続人同士の関係が悪かったりすると、必要書類がスムーズに揃わずお互い疲弊してしまうことも。専門家に依頼することで、他の相続人とのやり取りも代行してくれます。

相続登記せずに放置された不動産がある

なかには、何代も相続登記されておらず放置された不動産を相続する場合があります。このような未登記建物があると、昔の民法を調べるなどの手間が生じてしまいます。専門的な知識が必要になるため、専門家に依頼するのが無難と言えます。

代償分割や換価分割などの複雑な遺産分割がある

相続財産が不動産のみの場合、代償分割や換価分割などの特殊な分割方法になることも。

代償分割

代償分割とは、不動産を相続した人が他の相続人に代償金と呼ばれる金銭を支払う方法です。

換価分割

換価分割は不動産を先に売却し、その売却金を相続人間で分け合うものです。

いずれも遺産分割協議書の書き方を誤ると、贈与税がかかるとみなされる可能性があります。相続登記には遺産分割協議書が必要なため、遺産分割協議書を作成する段階から、専門家に依頼したほうが良いかもしれません。

相続登記を急いでいる

「相続登記を急いでいる」という人は専門家に依頼した方が良いでしょう。不動産を売却するケースなどは取引予定日が決まっているので、相続登記も急ぐ必要があります。

専門家に依頼することによって、正確かつスムーズに手続きを終えてくれます。

保存期間を経過した書類がある

相続登記に戸籍の附票が必要となるケースがあります。しかし、戸籍の附票は永久に保存されませんので注意が必要です。

相続登記を専門家に依頼したときの費用

専門家に相続登記を依頼したときの費用・料金

ここまで、専門家に依頼したほうが良い場合を紹介してきましたが、気になるのは費用ですよね。相続登記の司法書士報酬は、事務所によって異なりますが5~15万円程度と言われています。

また相続人の人数や所有する不動産の数などによっても、相続登記の料金は変わってきます。事前に複数の事務所から相見積りをもらい、ていねいに対応してくれる専門家に依頼しましょう。

「相続費用見積ガイド」では、相続に強い複数の専門家から、一括見積りをもらうことができます。無料で利用できますので、ぜひご検討ください。

相続登記手続きの必要書類と費用

相続登記の手続きに必要な書類は、以下のとおりです。相続のパターンや相続人の種類によって、必要書類が異なります。

書類名発行場所発行手数料
法定相続による相続
(どのケースでも必要)
被相続人の出生から死亡までの戸籍一式本籍地の市区町村役場一通450~750円
被相続人の戸籍附票一通300円
相続人全員の戸籍一通450円
新たに登記名義人となる相続人の戸籍附票一通300円
固定資産評価証明書もしくは固定資産税課税証明書固定資産評価証明書は不動産所在地の市区町村役場
固定資産税課税証明書は毎年自治体から自宅に届く
固定資産評価証明書は一通300円
収入印紙郵便局、コンビニなど登録免許税の金額分
登記申請書法務局窓口もしくは法務局ホームページ
返信用封筒郵便局、コンビニなど100~520円程度
遺産分割協議を行った場合遺産分割協議書
印鑑証明書相続人の住所地の市区町村役場一通300円
遺言書がある場合遺言書公正証書遺言は公証役場公正証書遺言は再発行が可能
一通250円
相続放棄をした人がいた場合相続放棄申述受理通知書相続放棄の手続きを行った家庭裁判所一通150円

自分で相続登記するときの流れ

自分で相続登記をする場合の流れをご紹介します。

  1. 不動産調査
  2. 戸籍収集
  3. 遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)
  4. 管轄法務局の特定
  5. 登録免許税の算定
  6. 登記申請書の作成
  7. 法務局への申請

不動産調査

まずは、故人がどんな土地・建物を所有していたかを調査します。登記申請書に不動産情報を正確に記入する必要があるからです。

不動産調査には、以下の書類を取り寄せます。

  • 土地の登記事項証明書(全部事項証明書):法務局
  • 登記済権利証や登記識別情報、登記完了証:法務局
  • 固定資産税納税通知書:市区町村役場
  • 土地の名寄帳:市区町村役場

戸籍収集

相続登記手続きで最も時間がかかるのが戸籍収集です。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍、原戸籍など
  • 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票:市区町村役場
  • 相続人の戸籍謄本または戸籍抄本

遺産分割協議書の作成

故人の遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議をおこない遺産分割協議書を作成します。また遺産分割協議書には、あわせて相続人全員の印鑑証明書も必要です。

管轄の法務局を調べる

相続登記の申請は、不動産の所在地の法務局で行わなければなりません。管轄が異なる法務局で申請しても却下されます。

法務局の管轄については、法務局ホームページから調べられます。

登録免許税の計算

相続登記に限らず、不動産の登記には登録免許税の納付が必要です。登録免許税の金額については固定資産評価証明書を見ながら、自分で計算します。

登録免許税の計算式

登録免許税=不動産の価格(課税額)×税率0.4%(100円未満は切り捨て)

不動産の価格(課税価格)

不動産の価格(課税価格)とは、「固定資産評価証明書」に記載された不動産の評価額が1,000円以上の場合には、1,000円未満を切り捨てた額が不動産の価格、すなわち「課税価格」となります。

「固定資産評価証明書」は、固定資産課税台帳に登録されています。そのため不動産の価格を計算するには台帳を確認する必要があります。

また相続登記時には、固定資産評価証明書を添付するのが一般的です。

登録免許税の減免

税制改正により、一定の条件を満たせば登録免許税が免除されるようになりました。

免税措置を受ける条件は、以下のとおりです。詳しくは法務局ホームページでも確認しましょう。

  • 土地の相続(相続人に対する遺贈も含む)であること(※建物は対象外)
  • ある相続人が土地の相続登記をする前に亡くなった後、当該相続人からさらに当該土地を相続すること(いわゆる二次相続)
  • 平成30年4月1日から令和4年3月31日までに登記申請を行うこと(※令和7年3月31日まで延長)
  • 申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載すること

上記の免税措置を受けたい場合は、申請書への記載を忘れないようにしましょう。

登記申請書の作成

必要書類が揃い登録免許税の計算ができたら、登記申請書を記入します。登記申請書は法務局ホームページから様式と記載例をダウンロードできます。

登記申請書には様式が何種類かあります。自分のケースにあう様式をダウンロードしましょう。

  • 遺言書(公正証書)で相続 →17)所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)
  • 遺言書(自筆証書)で相続 →18)所有権移転登記申請書(相続・自筆証書遺言)
  • 法定相続分で相続 →19)所有権移転登記申請書(相続・法定相続)
  • 遺産分割協議で相続 →20)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)
  • 遺産分割協議で相続(数次相続) →21)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)(数次相続)

登記申請書の作成ルール

また作成の際には、以下の作成ルールに則りましょう。

  • 申請書はA4の用紙で作成
  • 文字は印字でも手書きでも可能。どちらも黒ではっきりと記載すること。鉛筆は不可
  • 登録免許税の収入印紙は、貼り付けた紙を申請書と一緒にホチキス留めする。なお収入印紙には、割印や消印はしない
  • 申請書、収入印紙を貼った用紙、ほかの添付書類(原本還付してもらう場合はコピー)を一緒にして左側2カ所をホチキスで留め、各用紙の綴り目に割印をする
  • 原本還付を希望する場合は、申請書にはコピーを綴じ、原本はクリアファイルなどにまとめて提出する

原本還付とは

登記申請書に添付する戸籍謄本などは、原本を返却してもらうことができます(原本還付)。原本還付を受けるためには、原本還付を受けるためには、あらかじめ書類をすべてコピーし、コピーの1枚目に「原本に相違なし」と記載のうえ署名と押印をします。

戸籍謄本などは他の相続手続きで使用するので、原本還付してもらうと良いでしょう。

法務局で申請

登記申請書や必要書類の準備ができたら、管轄の法務局で申請します。申請方法には、窓口で直接申請郵送での申請オンライン申請の3通りがあります。

窓口で申請

窓口で申請するメリットは、修正があってもすぐ対応できること。必要書類のほか、申請書で使用した印鑑を持参しましょう。

郵送で申請

管轄の法務局に書類を郵送して申請もできます。普通郵便ではなく、レターパックプラスか書留郵便で送ります。法務局が遠方の場合などに便利です。

オンライン申請

オンライン申請は、自宅で手続きができるのが大きなメリット。しかし手続き専用ソフトをインストールする必要があったり、電子証明書を取得しなければならなかったりと、少し難しいかもしれません。

また、添付書類はオンライン申請受付日から2日以内に郵送もしくは持参して提出する必要があります。

書類に不備があった場合

何度か見直しをしても、一回で完璧に書類を完成させることは難しいかもしれません。申請書類にミスがあった場合は、法務局から連絡が入り修正の指示を受けます。

申請完了後

申請書の提出から登記が完了するまでは、一週間~10日ほどかかります。そして法務局で登記の処理が完了すると、新しい権利証などが発行されます。

法務局ホームページに登記完了予定日が掲載されているので、その日以降に窓口に取りに行きましょう。

書類の受け取りに必要な書類

  • 登記申請に使用した印鑑
  • 身分証明書

受け取る書類

  • 登記識別情報通知書
  • 登記完了証
  • 原本還付書類一式

なお郵送での受け取りを希望していた場合は、これらの書類が郵送で届きます。

相続登記に関するよくある質問

相続登記の手続きについて、よくある質問をまとめました。

相続登記の手続きは、自分でできますか?

はい。相続人が少ない場合や平日の日中にお時間があれば、自分で手続きを行うことは可能です。相続が複雑な場合など、自力でやるのが難しいようであれば専門家に相談しても良いでしょう。

相続登記を自分でした場合、どのくらい費用がかかりますか?

取得する戸籍の通数や登録免許税によって費用が変わってきます。必要書類を取得する費用に関しては、数千円程度になるでしょう。

相続登記を専門家に依頼した場合、どのくらいの料金になりますか?

専門家(司法書士)に相続登記を依頼した場合は、5~15万円程度です。登記する不動産の数や相続人の人数によっても変わってきます。

まとめ

今回は、相続登記を自分でやる方法について解説しました。相続登記の申請を自分で行うのは大変なので、ミスのないよう一つひとつ確認しながらおこないましょう。

「やっぱり自分で相続登記するのは難しい」という方は、専門家に相談してみることをおすすめします。その際、専門家にも得意分野があるので、できれば相続に特化した専門家が望ましいです。

また気になるのは、依頼したときの費用や対応ですよね。「相続費用見積ガイド」では、無料で一括見積を依頼することが可能です。しかも複数の士業から見積を取れるので、比較検討しながら依頼先を決めることができます。事務所探しにお悩みの方はぜひ、お気軽にご利用ください。

本記事の内容は、原則、記事執筆日(2022年12月13日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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