贈与契約書の注意点とすぐに使える豊富な種類のひな形一覧
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贈与を行う場合は、贈与契約書を作成すべきです。
この記事は、贈与契約書を作成するメリットと、作成時の注意点、それから、すぐに使える贈与契約書のひな形を豊富に用意しました。
是非、参考にしてください。
贈与契約書とは?
贈与契約書とは、贈与契約の存在やその内容を証明するための書面のことです。
贈与契約書を作成するメリット
贈与契約書を作成するメリットには次の3点があります。
- 合意した内容が明確になり、後々のトラブルの予防になる
- 撤回ができなくなる
- 税務調査時に暦年贈与があったことを証明する手段になる
以下、それぞれについて説明します。
合意した内容が明確になり、後々のトラブルの予防になる
通常、契約書を作成する目的は、契約当事者間のトラブルを避けるためです。
口約束だけだと、言った言わないの水掛け論となり、トラブルとなる可能性があります。
撤回ができなくなる
書面によらない贈与は、履行の終わった部分でない限り、撤回することができます。
つまり、100万円の贈与契約を口頭で行い、60万円は既に引き渡し済みという場合、残りの40万円については、どちらからでも撤回することができます。
ですので、特に受贈者(贈与を受ける人)としては、折角もらえるはずだったものがもらえなくならないように、契約書というようなかたちで書面に残しておくとよいわけです。
もっとも、贈与者からすると、いつでも自由に撤回できるように、書面に残さない方がよいという場合もあるでしょう。
税務調査時に暦年贈与があったことを証明する手段になる
毎年110万円までの贈与は、贈与税がかからず、申告する必要もありません。
ですので、自分の推定相続人(相続開始時に相続人になると推定される人)に対し、毎年110万円ずつ贈与することによって、相続財産の価額を減らし、相続税額を軽減させることができます。
しかし、相続時に、税務署から、被相続人(亡くなって財産を残す人)の所得等からすると相続財産の価額が少ないのではないか等と疑われ、税務調査が入ることがあります。
税務調査では、過去大体5年~10年分の被相続人の金融機関口座の履歴が調査されます。
調査の中で、被相続人の口座から相続人の口座に振り込みがあったことが発覚することがありますが、毎年110万円以内であれば、本来問題ないはずです。
しかし、税務署は次のような点を疑ってかかります。
- お金を移動させているだけで、実際はどちらの口座も被相続人が管理していて、贈与の実体があったとはいえないのではないか?
- 毎年振り込みが行われていたとしても、毎年別々の贈与が行われていたのではなく、一つの大きな贈与を小分けにして振り込んでいただけではないか?
ひとつひとつ説明していきます。
1.お金を移動させているだけで、実際はどちらの口座も被相続人が管理していて、贈与の実体があったとはいえないのではないか?
贈与があったと認められない場合は、贈与したはずであった財産は、贈与者の下に留まっていたことになります。
そうすると、その財産は相続税の課税価格に含まれることになります。
贈与があったとは認められないのは、受贈者の口座の通帳や届印、キャッシュカード等を贈与者が管理していて、受贈者が自由に引き出して使用することができない状態にあった場合等です。
贈与があったことを税務署に認めてもらうためには、受贈者の口座を受贈者自身で管理することは勿論のこと、贈与契約書を交わしておくことも有効な対策です。
2.毎年振り込みが行われていたとしても、毎年別々の贈与が行われていたのではなく、一つの大きな贈与を小分けにして振り込んでいただけではないか?
例えば、10年間に渡って毎年110万円ずつ、合計1100万円の振り込みが行われていたとします。
これを税務署は、110万円×10回の贈与ではなく、実体としては1100万円×1回の贈与で、10回に分割して振り込んだだけではないかと考えるのです。
このように判断された場合、初めの贈与の年に、1100万円-110万円=990万円に対して、贈与税がかされることになります。
このような事態を避けるためには、それぞれ別個の契約であることが税務署にも分かるように、毎年贈与契約書というかたちで残しておくことが有用です。
贈与契約書作成の流れ
贈与契約者は、次のような流れで作成します。
- 契約内容を当事者間で話し合って合意する
- 贈与契約書を作成する
- 当事者がそれぞれ1通ずつ保管する
以下、それぞれについて説明します。
1.契約内容を当事者間で話し合って合意する
契約書を作成する前に、契約内容を決めなければならないので、当事者間で話し合って、口頭で合意を確認しておきます。
契約内容とは、「誰から」(贈与者)、「誰に」(受贈者)、「何を」(贈与の目的物)、「いつ」(贈与の時期)、「どのようにして」(贈与の方法)、贈与するのかということです。
「誰から」と「誰に」は、既に決まっているでしょうから、残りの3点について、当事者間で話し合います。
当事者間で話し合うといっても、贈与は贈与者のみに負担がある契約なので、贈与者が内容を一人で決めてしまうことも多いでしょう。
なお、負担付贈与(ふたんつきぞうよ)という、受贈者も一定の債務を負担するかたちの贈与契約もありますが、負担付贈与の場合は、双方で話し合って内容を決めたほうがよいでしょう。
また、贈与の目的物については、次のようなものがあります。
- 金銭
- 有価証券
- 自動車や貴金属類、美術品、骨董品などの動産
- 不動産
- 借地権
贈与契約書を作成する
契約書は、通常、パソコンでMicrosoft Word等の文書作成ソフトを利用して作成しますが、手書きでも構いません。
紙は、通常は、A4サイズの上質紙(コピー用紙)を使用しますが、経年劣化があまりなく、そこそこ丈夫な紙であれば他の紙でもよいでしょう。
金銭を贈与する場合と、不動産を贈与する場合、株式を贈与する場合の贈与契約書のひな形を紹介します。
金銭贈与契約書
まず、金銭を贈与する場合は、以下のように文言になります。
なお、銀行口座に振り込み形式をとっていますが、現金手渡しよりも振り込みの方が、履行日や金額が明確になるので、お勧めします。
現金手渡しの場合は、当事者間でトラブルなることもありますし、税務調査の時にも履行日と金額がはっきりした方が都合がよいでしょう。
また、金銭贈与契約書の場合は、収入印紙は不要です。
不動産贈与契約書
次に、不動産を贈与する場合は、以下のような文言になります。
不動産贈与契約書では、地番や家屋番号を正確に記載しなければなりません。
登記事項証明書を確認しながら、正確に記載しましょう。
また、固定資産税は、1月1日時点の所有者に対して課税されますが、年の途中で譲渡する場合は、上記のような形で清算するのが一般的です。
不動産価額の記載のない不動産贈与契約書には200円の収入印紙を貼付します。
不動産価額の記載がある場合は、その価額によって収入印紙の額が異なりますが、特に価額を記載する必要がなければ、記載しなくてもよいでしょう。
その方が、印紙代も安くなります。
株式贈与契約書
次に、株式の贈与契約書の文言は、次のようになります。
記名捺印
未成年者の場合は、親権者の同意も必要です。
末尾の記名捺印欄に、以下のような形で乙の親権者の欄も追加しましょう。
契約書の内容を双方確認して問題がなければ、末尾の氏名の横に捺印します。
捺印に用いる印鑑は、認印でも構いませんが、やはり実印がお勧めです。
複数枚になる場合は製本して、製本テープと紙を跨ぐかたちで割り印します。
当事者がそれぞれ1通ずつ保管する
捺印まで済んだら、当事者が1通ずつ保管します。
金庫に入れる等して大切に保管しましょう。
まとめ
以上、贈与契約書について説明しました。
次の世代に、損なく確実に財産を引き継がれるための参考にしていただければ幸いです。
また、贈与契約書について不明な点は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
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