相続登記はオンライン申請できる?手順やメリット・デメリット、注意点など総まとめ

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本記事の内容は、原則、記事執筆日(2022年5月18日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

土地や不動産を相続したときに行うのが、相続登記です。

相続登記をしないと土地・不動産の処分や売却ができず、共有状態が続くため相続関係が複雑になっていく可能性もあります。

また、相続登記は令和6年4月1日より義務化が施行されます。手続きを怠ると過料が科されることも…。相続登記の手続きは速やかに行いましょう。

相続登記は法務局の窓口で行うほか、オンラインで申請できることをご存知ですか?この記事では相続登記のオンライン申請について、詳しく説明します。

相続登記はオンライン申請できる?手順やメリット・デメリット、注意点など総まとめ

土地や不動産を相続したときに行うのが、相続登記です。

相続登記をしないと土地・不動産の処分や売却ができず、共有状態が続くため相続関係が複雑になっていく可能性もあります。

また、相続登記は令和6年4月1日より義務化が施行されます。手続きを怠ると過料が科されることも…。相続登記の手続きは速やかに行いましょう。

相続登記は法務局の窓口で行うほか、オンラインで申請できることをご存知ですか?この記事では相続登記のオンライン申請について、詳しく説明します。

記事を3行で先読み!
この記事はこんな方におすすめ:
「オンライン申請について知りたい人」「土地・不動産を相続する人」

  • 相続登記の申請には、窓口申請、郵送申請、オンライン申請の3つの方法がある
  • オンライン申請をしても、戸籍や遺産分割協議書などは郵送(または持参)する必要がある
  • 登録免許税の納付期限や、添付書類の郵送期限に注意

相続登記の申請方法

相続登記 申請

相続登記には、窓口申請郵送申請オンライン申請の3つの方法があります。それぞれメリット・デメリットを見ていきましょう。

窓口申請

窓口申請とは、相続した不動産を管轄する法務局の窓口に出向いて申請する方法です。登記申請書と必要書類を持参します。

このとき、管轄の法務局でないと登記を受け付けてもらえないので注意しましょう。管轄については、法務局ホームページから調べることができます。「不動産登記」と書かれた窓口で申請を行います。

窓口申請のメリット

法務局の窓口では「登記手続き案内」として、申請書の書き方や添付書類について説明をしてくれます。申請について不安なことがあっても、直接担当者に聞けるのがメリットと言えるでしょう。

窓口申請のデメリット

法務局の業務時間は、平日午前8:30~午後5:15までとなっています。そのため、平日に仕事がある人は、休暇を取って法務局に行かなければいけません。

また、窓口申請は必要書類がすべて揃っていないと申請が受理されません。書類の不足などがあると、何度も法務局に行かねばならないことも。

加えて、登記手続き案内は完全予約制です。また新型コロナウイルスの影響で、法務局によっては電話対応のみのところもあります。

郵送申請

郵送での申請は、必要書類一式を封筒などに入れて「不動産登記申請書在中」と赤字で記入し、郵送します。

このとき追跡ができるよう簡易書留やレターパックなどの使用をおすすめします。また、登記が完了すると書類を受け取るので、返信用封筒と切手を同封しておきましょう。

郵送申請のメリット

郵送であれば、相続不動産が遠方にあっても法務局に行かずに相続登記の申請ができます。また、平日に行けない人でも申請できるのが郵送申請のメリットです。

郵送申請のデメリット

郵送申請では窓口で説明を受けることができないので、提出書類に不備が生じやすいのがデメリットと言えるでしょう。郵送だと書類が届くまで時間もかかります。

早く手続きを終えたい方や、正確に書類を準備できる自信のない人は、専門家へ依頼を検討しても良いでしょう。

オンライン申請

平成17年の不動産登記法の改正により、オンラインで相続登記申請ができるようになりました。

オンライン申請のメリット

オンライン申請のメリットは、自宅やオフィスなどどこからでも、全国の法務局へ申請ができることです。

オンライン申請ができる時間は月曜日~金曜日の午前8:30~午後9:00までです。

また、登記申請の進捗状況をオンラインで確認することも可能です。登録免許税については、インターネットバンキングで納税します。

申請の内容にミスのあった場合は、オンライン上で訂正することができます。ただし、添付書類に不備のあった場合は申請の受付日から2日以内に添付書類を提出しに行かねばならず、結果として法務局に出向くことになります。

オンライン申請のデメリット

オンライン申請をするには、インターネット環境を整え、専用ソフトをインストールしなければなりません。電子証明書の取得の必要などもあり、パソコン操作の苦手な人には難しいでしょう。

さらに、オンラインで申請を行ったとしても、結局、遺産分割協議書などの必要書類は郵送もしくは持参する必要があります。

オンライン申請をするためのソフトウェア

先に述べたように、オンライン申請をするには専用ソフトをインストールする必要があります。専用ソフトには、行政が提供しているものと市販のものの2つに分けられます。

行政が提供しているソフト

オンライン申請は登記・供託オンライン申請システムから行います。ここから「申請用総合ソフト」をダウンロードし、申請書の作成や電子署名の付与、データの管理などを行います。

注意したい点としては、申請用総合ソフトはWindowsしか対応していないので、MACでは利用できません。

市販のソフト

相続登記のオンライン申請は、市販のソフトを利用することも可能です。登記・供託オンライン申請システムと正しく連携できるものを選ぶようにしてください。

市販のソフトは行政のものと違い有料ではありますが、その分使い勝手が良いのが特徴です。

そうは言っても、市販のソフトは機能が多く専門家向けです。個人の方は、行政のソフトを利用することがほとんどのようです。

オンライン申請のときだけ必要になるもの

窓口申請や郵送申請では使用しない、オンライン申請のみ必要となるものがあります。

マイナンバーカード

マイナンバーカードを持っていない人は、オンライン申請ができません。

ICカードリーダー

相続登記のオンライン申請には、電子署名が必須となります。電子署名を利用するためには、ICカードリーダーとマイナンバーカードが必要です。

スキャナー

オンライン申請では、戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類を添付資料として提出しなければいけません。これらをPDFデータにするために、スキャナーが必要になります。

相続関係説明図を作成することで、スキャナーが不要に?

相続関係説明図をワードなどで作成しPDFにして申請情報と合わせて送信すれば、登記原因証明情報を提供したとみなされます。そのため戸籍や遺産分割協議書をスキャナーで取り込む手間を省くことができます。

相続登記の必要書類

相続登記に必要な書類は、遺言書がある場合などで変わってきます。

書類発行場所発行手数料
法定相続による相続
(どのケースでも必要)
被相続人の出生から死亡までの戸籍一式本籍地の市区町村役場一通450~750円
被相続人の戸籍附票一通300円
被相続人全員の戸籍一通450円
新たに登記名義人となる相続人の戸籍附票一通300円
固定資産評価証明書もしくは固定資産税課税証明書固定資産評価証明書は不動産所在地の市区町村役場
固定資産税課税証明書は毎年自治体から自宅に届く
固定資産評価証明書は一通300円
収入印紙郵便局、コンビニなど登録免許税の金額分
登記申請書法務局窓口もしくは法務局ホームページ
返信用封筒郵便局、コンビニなど100~520円程度
遺産分割協議を行った場合遺産分割協議書
印鑑証明書相続人の住所地の市区町村役場一通300円
遺言書がある場合遺言書公正証書遺言は公証役場公正証書遺言は再発行が可能
一通250円
相続放棄をした人がいた場合相続放棄申述受理通知書相続放棄の手続きを行った家庭裁判所一通150円

オンライン申請の流れ

それでは、相続登記のオンライン申請の流れを見ていきましょう。

  1. 相続関係説明図の作成
  2. 申請用ソフトのインストール
  3. 電子署名の準備
  4. 登記申請書の作成
  5. 相続関係説明図の添付
  6. 電子署名の実施
  7. 申請書類の送信
  8. 登録免許税の納付
  9. 添付書類の送付
  10. 完了確認
  11. 登記識別情報通知などの受領

相続関係説明図の作成

相続関係説明図

オンライン申請を行う場合、「相続関係説明図」を作成しておくと便利です。相続関係説明図を添付することによって、遺産分割協議書や印鑑証明書、被相続人の出生から死亡までの戸籍や相続人全員の全員戸籍などをデータ化して添付するのを省略できます。

相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係を家系図のように表したものです。

申請用ソフトのインストール

登記・供託オンライン申請システムから、申請用総合ソフトをインストールします。利用にあたって利用者情報などの登録が必要です。

電子署名の準備

電子署名をするには、「公的個人認証サービス」の利用登録が必要です。この手順については、公的個人認証ポータルサイトから確認してください。

申請用ソフトのダウンロードページに、「PDF署名プラグイン」が用意されているので、こちらをインストールします。 これによって、申請用ソフトを起動中に電子署名ができるようになります。

登記申請書の作成

申請用総合ソフトを起動し、登記申請書を作成します。

申請者IDとパスワードを入力しログインしたら、「申請書の作成を行う」をクリックします。次に、「登記申請書(権利に関する登記)所有権の移転(相続)」を選択します。

登記の目的、原因、相続人情報、不動産情報などを入力します。ここに入力した情報が登記簿に反映されるため、間違いのないよう注意しましょう。

オンライン申請での登記申請書の作成については、登記・供託オンライン申請システムの操作手順書を参考にしてください。

相続関係説明図の添付

作成した相続関係説明図をPDFにして、添付します。

電子署名の実施

申請書や添付書類の準備ができたら、電子署名を行います。

「ICカードで署名」を選択し、ICカードリーダーにマイナンバーカードをセットします。電子証明書用のパスワードを入力すると、電子署名が完了です。

申請書類の送信

申請用総合ソフトの「申請データ送信」をクリックして送信します。

法務局での受付が完了すると「受付のお知らせ」が届き、受付日や受付番号が表示されます。受付のお知らせは申請の完了を確認するときに必要な情報になるので、印刷しておきましょう。

登録免許税の納付

オンライン申請の場合には、ソフト上で「電子納付」を選択することによって、インターネットバンキングなどを利用して納付することができます。

申請用総合ソフトの「納付」ボタンを選択して、納付処理を行います。電子納付の場合は申請日を含めて2日以内に納付を完了しなければいけません。

もしくは収入印紙で納付することも可能です。その場合は、ソフト上で「登録免許税納付用紙」を選択して、登録免許税納付用台紙を印刷します。

台紙に金額分の収入印紙を貼り、他の書類とともに郵送しましょう。貼り付けた収入印紙に消印はしないでください。

添付書類の送付(もしくは持参)

先ほど述べた必要書類と作成した相続関係説明図、「書面により提出した添付情報の内訳表」を申請日から3日以内に法務局へ郵送または窓口に持参します。

内訳表を表紙にし、すべての書類をクリップかホッチキスで止めます。

登記完了後の書類を郵送してもらう場合は、返送用の封筒と切手(レターパックでも可)を同封します。

このとき原本の返却(原本還付)を希望する場合は、原本還付請求の手続きが必要です。原本還付を行うことで、同じ書類を何度も取得する手間が省けます。

完了確認

申請書類に不備などがなければ、申請から1~2週間ほどで手続きが完了します。オンライン申請をした場合は、申請用総合ソフトで手続きの進捗状況を確認することができます。

処理欄が「手続完了」となっていれば終了です。

登記識別情報通知などの受領

登記が完了すると、登記識別情報通知登記完了証が交付されます。登記識別情報はオンラインで受領することも可能ですが、重要な情報であるので書面で残しておくことをおすすめします。

上記のように書類を提出する際に返信用封筒を同封しておけば、登記識別情報通知と登記完了証に加え原本還付された書類が郵送されます。

オンライン申請の注意点

相続登記 オンライン申請

いろいろと便利なオンライン申請ですが、いくつかの注意点があります。

送付(持参)、納付期限に注意

オンライン申請には添付書類の提出が必要ですが、添付書類は申請の受付日から3日以内に法務局に送付または郵送しなければいけません。

また登録免許税についても、申請日を含めて2日以内(申請日の翌日)には納付を完了していないといけません。

どちらも期限を過ぎると申請が却下される可能性があるので、できるだけ早く行いましょう。

補正のお知らせに注意

申請書に不備などがある場合、法務局から「補正のお知らせ」が届きます。申請情報の不備は法務局では直してもらえないので、申請人が修正しなければいけません。

補正にも期限が設けられているので、気づかずに放置してしまうと申請が却下されてしまうことがあります。

期限内に補正ができない場合には、必ず法務局に連絡して相談してください。

相続関係説明図は正確に

オンライン申請では相続関係説明図を添付することで、戸籍などをスキャンする必要がなくなると記述しましたが、誤りのある相続関係説明図を送信してしまうと、再送信はできません。

相続関係説明図の補正は認められていないので、ミスがあると申請をいったん取り下げて、始めからやり直す必要があります。

まとめ

法務局に行く必要がなく、自宅やオフィスから申請できるオンライン申請は便利な制度です。しかし不慣れな人には、少々ハードルが高いかもしれません。

オンライン申請について不安のある方や、手間を省きたい人などは専門家に相談しても良いでしょう。

また今回はオンライン申請について説明しましたが、登記書類の作成や戸籍収集を代行してくれるサービスなどもあります。状況に応じて利用しても良いでしょう。

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