所有権移転登記とは?相続登記との違いは?費用や必要書類まで詳しく解説【司法書士監修】

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本記事の内容は、原則、記事執筆日(2022年4月26日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

「不動産を相続したときは登記が必要」というのは、聞いたことのある方も多いかと思います。

しかし、実際どのように手続きをするかなど、相続登記について詳しい人はあまりいないでしょう。相続登記は「所有権移転登記」のひとつであり、義務化が決定されている手続きでもあります。

今回は所有権移転登記について、所有権保存登記との違いや手続きにかかる費用などについて詳しく解説していきます。ぜひ、参考にしてください。

所有権移転登記とは?相続登記との違いは?費用や必要書類まで詳しく解説【司法書士監修】

「不動産を相続したときは登記が必要」というのは、聞いたことのある方も多いかと思います。

しかし、実際どのように手続きをするかなど、相続登記について詳しい人はあまりいないでしょう。相続登記は「所有権移転登記」のひとつであり、義務化が決定されている手続きでもあります。

今回は所有権移転登記について、所有権保存登記との違いや手続きにかかる費用などについて詳しく解説していきます。ぜひ、参考にしてください。

記事を3行で先読み!
この記事はこんな方におすすめ:
「不動産を相続する人」「登記について詳しく知りたい人」

この記事のポイント:

  • 土地・不動産の所有権が移るときに、所有権移転登記が必要
  • 相続登記は義務化が決定されている
  • 令和6年3月31日までは、登録免許税の軽減措置が設けられている

この記事の監修者

アンド・ワン司法書士法人

上木拓郎

所有権移転登記とは?

所有権保存登記 所有権移転登記 相続登記 表題登記 

所有権移転登記とは、土地や建物の所有権が移ったことを明確にするため、法務局が管理する公の帳簿(登記簿)に反映させる手続きです。

不動産の所有権が移動したとき、登記簿に反映させておかないと、第三者から権利を主張されるなどのトラブルになる可能性があります。

不動産登記

所有権移転登記は、「不動産登記」と言われる手続きのひとつです。不動産登記とは、不動産の情報を公に明らかにするために、その不動産の所在や面積、所有者などを法務局で記録・管理する手続きです。不動産の購入や売却を安全に行うためには、法務局で記録することが大切になってきます。

登記の記録は「登記簿」もしくは「登記記録」と呼ばれ、誰でも手数料を払うことで日本全国の不動産の登記事項証明書を取得することができます。

所有権保存登記

所有権保存登記とは、注文住宅を建てたときや、新築の一戸建て・マンションを購入したときに必要な登記です。

新築した建物はまだ登記が存在していません。そのため、まずは新築した建物の内容(用途、構造、床面積)を登記する必要があります。こちらを「表題登記」といいます(後掲参照)。表題登記が完了した後、その建物の所有者が誰かを明らかにするために所有権保存登記を行います。

所有権保存登記をしておくことで、後に不動産売却や担保に入れるときに建物の所有権を主張できます。

相続登記

建物を相続したときや贈与されたときに行う登記を相続登記と言います。実際には、所有権移転登記のひとつです。

相続登記は義務化が決定されており、令和6年4月1日より施行されます。施行日以前に相続の開始があった場合についても適用されるため、速やかに行っておきましょう。

抵当権設定登記

所有権の登記が既にされている建物に、金融機関が担保権を設定する際に行う登記です。

表題登記

新築の建物など、まだ公的に登記がされていない土地・建物に対して、不動産の存在や規格を新しく登録するための登記です。

表題登記を行うと、登記簿の「表題部」に記載されます。表題登記は法律によって義務付けられているため、所有者は所有権の取得日から1か月以内に表題登記の申請を行わなければいけません。

所有権移転登記はいつ必要?

所有権移転登記を行う必要がある、いくつかの場面を紹介します。

  • 不動産の売買を行ったとき
  • 不動産を贈与されたとき
  • 不動産を相続したとき(相続登記)

不動産の売買を行ったとき

不動産の売買によって、土地・建物の所有権が売り主から買い主に移ったときに所有権移転登記を行います。このとき、手続きは売り主と買い主が共同で申請を行います。

所有権移転登記のタイミングは、買い主が売り主に対して、売買代金全額を支払いした当日に行うのが一般的です。買い主が売買代金全額を支払いしたにも関わらず、売り主が買い主以外の第三者に所有権移転登記をすることを防ぐためです。

不動産を贈与されたとき

不動産を生前贈与などによって贈与されたときも、所有権移転登記を行います。贈与の契約は口頭でも成り立ちますが、贈与された事実を明確にしておくためにも、登記が必要です。

不動産を相続したとき

遺産分割や遺言によって不動産を相続したときも、所有権移転登記が必要です。

遺産分割協議でご自身が単独で不動産を相続すると確定したにも関わらず、所有権移転登記を行っていないと、他の相続人は法定相続分どおりの所有権移転登記をすることができてしまいます。所有権移転登記後、他の相続人がご自身の法定相続分のみ不動産を勝手に売却したり、担保を設定してしまうなどのトラブルの原因になることも。

前述した通り、相続登記の義務化も決定していますので、速やかに登記を行いましょう。

所有権移転登記にかかる費用

登記にかかる費用

所有権移転登記にかかる費用は、主に以下の3つです。

  • 登録免許税
  • 必要書類の準備にかかる費用
  • 司法書士に依頼する場合にかかる費用

登録免許税

登録免許税は金額が決まっているわけではなく、固定資産評価額と税率によって決定します。

登録免許税=固定資産評価額×税率

税率については、「登録免許税の軽減措置」として、通常よりも低い税率となっています(令和6年3月31日まで)。

必要書類の準備にかかる費用

所有権移転登記を行う際は、状況に応じてさまざまな書類が必要になります。

所有権移転登記に必要な書類は後述しますが、登記事項証明書はまず必要です。これは登記事項証明書の発行手数料がかかります。これは登記所または法務局証明センターで発行されます。

登記事項証明書の取得の仕方によって発行手数料は多少異なりますが、350~600円程度かかります。

司法書士に依頼する場合にかかる費用

所有権移転登記は必要な書類も多く大変な手続きです。ご自身の手間を省きたいという場合、司法書士に依頼しても良いでしょう。

所有権移転登記にかかる費用の目安は、5~10万円です。報酬の自由化により、各司法書士事務所で金額やサービス内容が異なります。

所有権移転登記の必要書類

所有権移転登記で必要となる書類は、売買か相続、贈与によって異なります。また司法書士に依頼する場合は、委任状も必要です。

相続の場合

戸籍謄本は1通あたり数百円の手数料がかかります。

名称取得場所
相続人全員の戸籍謄本市区町村役場
死亡した方の出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本市区町村役場
死亡した方の住民票の除票(本籍地が載っているもの)市区町村役場
相続人の全員の住民票の写し市区町村役場
固定資産評価証明書市区町村役場
相続関係説明図自分で作成
登記申請書法務局

遺産分割の場合

遺産分割で不動産を相続した場合は、上記の書類に加えて、以下の2つの書類が必要です。

名称取得場所
相続人全員の印鑑登録証明書市区町村役場
遺産分割協議書自分で作成

遺産分割協議書と相続関係説明図は、行政書士に作成を依頼することが可能です。

相続登記を自分でやる場合

相続登記の手続きは専門家に依頼するイメージのある方もいるかと思いますが、インターネットのサービスを利用して、自分で相続登記を行うことも可能です。

必要事項を入力するだけで必要書類を取得することができ、法務局への発送も行ってくれます(自分で法務局に提出することも可能)。

手続きが完了すると、法務局から直接手元に完了書類が届きます。

費用としては、目安として7万円前後になるようです。

遺言書の場合

故人が遺言を残していた場合には、以下の2つの書類が必要です。

名称取得場所
遺言書亡くなった人が作成
検認証明書家庭裁判所

遺言書が自筆証書遺言書の場合、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。検認を受ける前に遺言書を開封してはいけません。

まとめ

今回は所有権移転登記について解説しました。実際に登記の手続きを行うときは、書類の記載ミスや漏れなどないよう注意しましょう。

また「登記の手続きがわからない」という方は、専門家に依頼を検討するのもひとつの方法です。 相続ではさまざまな手続きが必要になりますから、他の専門家や専門家に依頼することで効率よく進めることができるでしょう。

いい相続では、遺産分割協議書の作成や、戸籍収集など、相続手続きを代行してくれる専門家をご紹介しています。ぜひ、お問い合わせください。

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